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砂とコンクリートとロケット. 2 

今回、広島まで出向くきっかけとなった不思議な素材『G(仮称です…)』との出会いは、5ヶ月以上も前のことになります。締め切り間際の図面作成に追われる中、いきなり商品説明にやってきた見知らぬ営業マン…。はっきり言ってそれどころではない状況でしたが、追い返すのも可哀想なので「5分間だけね」という条件付でお話を聞いてあげることにしました。

 営業マンの取り出したる小さなパンフレットには、今まさに打ち上げられんとするH-ⅡロケットとJAXA(言わずと知れた宇宙航空研究開発機構)の文字……はっきり言っていかがわしさ満点のパンフレットに『NASAが駄目ならJAXAかいっ!!』と内心思わずにはいられませんでした。
 このいかがわしさ漂う『G』は、ロケットの打上げ時の高熱からロケット先端部を守る高性能断熱塗材として開発され、実際にH-Ⅱロケットのフェアリング部に塗布されて宇宙まで飛んで行ったとのこと……その技術を一般の暮らしの中で活用可能にしたのが『G』と言うわけなのですが、にわかには信じる事など出来ません。

 営業マンの置いていったぶ厚い実験データや美辞麗句を並べたパンフレットを見ても、つのりゆくのは疑いの念ばかりでした。

 数週間後、再びやってきた営業マン。今度は小さな実験装置を取り出して金属板に熱を加え始めます。一方は何も塗布されていない金属板、もう一方は『G』を塗布した金属板…放射温度計の示す表面温度は両者共どんどん上昇してゆき3分程度で100℃を越えてしまいました。次に営業マンが取り出したのは氷の塊……これを加熱が継続される二つの金属板の上に置いてみます。何も塗布されていない金属板の上では瞬時に氷が解け始め、液化した水は蒸気となって消えてゆきます。一方『G』を塗布した金属板の上の氷は微動だにせず…。

 今でもうまく説明が出来ないのですが、この素材は断熱性能に特化したセラミックビーズで構成されており、熱を伝えにくく、吸収した熱量以上に熱を再放射して塗膜表面の温度上昇を抑える特性を持っています。直接熱を加えられて温度が上昇した塗膜表面も、氷に触れると、瞬時に接点温度が氷の表面温度と同じになってしまう不思議な性質を持っています。

聞けばロケットだけではなく電車の座席の足元ヒータによる火傷を防止するためにJRの車両に採用されていたり、アサヒビールのクーラーボックス「ホームビアプール」にも採用されており、いうなれば超一流企業の超難関性能試験をクリアした素材というわけです(まあぁ、ロケットと共に打上げられるくらいですから優秀なのはわかりますが、NASAやJAXAでは凡人の私にはピンとこないわけです…)しかもこの素材、県内では大学の寮や工場等の遮熱・結露防止に、広島に至っては、既に住宅にも採用事例があって住環境レベルの向上が確認できているとのこと。
そんな訳でこの不思議な素材『G』が使用された住宅と『G』の性能を見極めるべく広島へと向かうこととなったのでした………つづく

図1

※ JAXA(宇宙航空研究開発機構)「暮らしの中にいきる日本の宇宙技術」より抜粋

怪しいパンフレットに掲載されていた写真と同じ、H-Ⅱロケットの打上げ風景。
ロケット先端(フェアリング部)の赤丸に『G』が塗布されています。ロケットを守った宇宙技術が、今度は家も守ってくれるらしい…?

設計部 大橋

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